「透明な迷宮」 平野啓一郎

2014年6月30日 発行
発行所 新潮社
著者 1975年愛知県生まれ。1999年京大在学中「日蝕」で芥川賞受賞。


イメージ 1




 6篇の短編集。印象に残ったのは「消えた蜜蜂」「ハワイに探しに来た男」「透明な迷宮」の三篇。
 短編集の題になった「透明な迷宮」はこの3篇の中でも一番印象的。
 ブタベストで偶然に出会った男女。とあることで躰を重ねることになる、女は一緒に日本に連れて行って欲しいと言っていたにもかかわらず、女は日本に帰る日翻してしまった待ち合わせ場所に現れなかった。連絡も途絶えてしまう。日本に帰ってきた男に久しぶりに連絡があり、再び愛し合うことになったが、実はその女は双子の妹。またブタペストに戻るといい旅たちの日に愛し合ったのは双子の妹の本人。


 なぜか、大昔好きだった女の子は双子だったことを思い出してしまい、今では黄ばんでしまったアルバムを出してきて、セーラー服姿の彼女の白黒写真を眺めた。見分けがつかないこともあったなと。
 なぜか、女の子の写真を何十年経っても捨てられずにいる己が怖い。