2013-12-16 「黒書院の六兵衛(下)」 浅田次郎 読み物 #読書 2013年10月21日 第1刷 発行所 日本経済新聞社 著者 1951年東京生まれ。 95年「地下鉄(メトロ)に乗って」で吉川英治文学新人賞、97年「鉄道員(ぽっぽや)」直木賞を受賞。11年より日本ペンクラブ会長。 初出 日本経済新聞朝刊 2012年5月14日~2013年4月17日 御書院番士、的矢六兵衛は西郷隆盛、第十六代徳川宗家を襲った家達公が説得を試みても下城することはなかった。しかし、天朝(聖上)と会ったことで静かに城を出た。 金上旗本、的矢六兵衛のその姿は徳川三百年を生きた数知れぬ武士の魂を肩衣の背に負うているように見えた。 的矢六兵衛は十月の勤番を終えたのではなく、三百年の武士の勤士(ごんし)を、やりおおして下城したのであった。