「蛇行する月」 桜木紫乃

2013年10月20日第1刷発行
双葉社

著者 1965年北海道釧路市生まれ。
13年「ホテルローヤル」で第149回直木賞受賞。

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 前作「ホテルローヤル」は家業であったラブホテルでの出来事を題材に作品を完成させた著者は、今回も道立湿原高校、ホテルから望む夜景においても北海道釧路市を物語の場所として選んでいる。

 高校の図書部に在籍する同級の女子高生と顧問の男性教諭が主人公。彼、彼女たちの卒業から彼女たちが50歳までの人生をそれぞれの視点に立って構成されている。
 その中で中心になるのが順子。順子は図書部顧問の男性教諭が好きで、他の教科は赤点もあるのだが国語のテストだけは常に百点を取っている。強引に教師に告白した順子だったがフラレてしまう。高校卒業して勤めたのが札幌の老舗和菓子店。そこで店員をしていたのだが、店の順子と20歳違いの婿養子の子どもを妊娠して二人で北海道を逃げ出す。二人はやがて東京下町に落ち付きラーメン屋を営む、客足は芳しくなかったが順子は幸せを感じている。
 同級生の内一人は教師になって顧問だった男性教師と結婚した。実は彼女も高校時代、顧問教師が好きだったため教師になったのであった。看護師になった同級生は独身で順子の幸せを見たいために東京に会いに行くが順子はやせ細り黄疸も出ていて余命数カ月の状況だったが順子は幸せだと言った。