「祈りの幕が下りる時」  東野圭吾

2013年第1刷発行
講談社

著者 1958年大阪生まれ。1985年「放課後」で第31回江戸川乱歩賞、1999年「秘密」で日本推理作家協会賞、2006年「容疑者Xの献身」で第134回直木賞、2013年「ナミヤ雑貨店」で第7回中央公論文芸賞の各賞を受賞。

 本書は書き下ろし、ハードカバー初版20万部(初版4千から5千が通常らしい)
加賀恭一郎シリーズ10作目作品。


第1作1986年卒業、
第2作89年眠りの森、
第3作96年どちらかが彼女を殺した
第4作96年悪意、
第5作99年私が彼を殺した
第6作2000年嘘をもうひとつだけ、
第7作06年赤い指、
第8作09年新参者、
第9作11年麒麟の翼

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プロローグでは恭一郎の生い立ちや、恭一郎本人・家族に関する重要な事件が描かれている。
 東京で起きた殺人事件について捜査本部の従兄弟が相談してきた事件に関係すると思われる人物が幼い時に別れた母に繋がりがあることで、恭一郎は事件の解決に関わることになっていく。


 妻の作った借金がもとで滋賀・彦根を夜逃げした父と娘。能登半島の断崖で父は投身自殺した。娘は養護施設に入所しながら高校を卒業した後劇団に入りやがて中堅の演出家として成功し夢であった明治座で初のロング公演をすることになった。
 初日の前日突然、別れて行方不明だった母のことで、彦根から友人が訪ねてきた。友人は日帰りで彦根に戻ると言って帰って行った。
 その友人が東京のアパートで死体となって発見された。発見される数日前には河川敷のビニールシートの掘立小屋では絞殺された焼死体が発見された。


 シリーズ第1作で加賀恭一郎の両親が離別したが、理由は不明だったがこの10作目で事件の解決とともに明らかになった。また、警視庁捜査一課への配属を拒み京橋署への配属を自ら望んでいたのか本作で明らかになった。この事件の解決で加賀恭一郎は捜査一課に戻ることになる。

 本作だけにおいても奥深い内容なのに、シリーズ1作目からこの作品までの流れの奥深い内容にさすが東野圭吾と感心させられる。11作目が楽しみだ。