半沢直樹最新連載小説「銀翼のイカロス(第26回)」 池井戸潤

週刊ダイヤモンド2013年11月16日号
第4章 荒ぶれる男たち

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 紀田常務と曾根崎審査部次長は再び帝国航空を訪れ山久部長に会う、そして自ら作成してきた状況説明書に法人印を押して欲しいと申し出る。
 山久部長は既に状況説明書は作成し御社の半沢営業第二部次長に渡したと言った。それを聞いた曾根崎は絶望と半沢に対する激しい怒りが込み上げてきた。

 銀行に戻った曾根崎は、そのまま営業第2部に寄り帝国航空の山久部長の作成した説明書は誤解と錯誤によって作成されたものだとして、受け取った状況説明書を渡せと半沢に詰め寄った。

 半沢はICレコーダーを取り出し再生ボタンを押した。そこから聞こえてきたのは、先日曾根崎が山久部長を訪れた時に言ったことが録音されて流れてきた。その内容は「銀行側が数字を書き換えたこと」を曾根崎自ら語っているところだった。
 聞かされた曾根崎は唇をぶるぶると震わせ、顔は顔面蒼白で恐怖の面立ちになった。

 半沢は曾根崎をにらみ「よくもまあ、コケにしてくれたな。きっちり、ここで謝罪してもらおうか」と吠えた。

 (次号につづく)