半沢直樹シリーズ最新連載小説「銀翼のイカロス(第22回)」週刊ダイヤモンド 2013年10月19日号

著者 池井戸潤 岐阜県八百津町生まれ。
下町ロケット」で直木賞受賞。


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 1年前に東京中央銀行が実施した帝国航空への融資。帝国航空が策定した当時の再建案の中身と、銀行が金融庁に提出した再建案の中身が違うことを金融庁に指摘された。半沢は金融庁の聞き取り調査終了後、当時担当者である曾根崎を問い詰めた。曾根崎は再建案を帝国航空から受け取ったことは認めるが、金融庁に提出した再建案の数字の改ざんについては認めない。


 金融庁との検討会2日目。
『半沢次長』と黒崎調査官から名指しを受けた。『発表してくれるかしら?なんで再建案の数字が間違っていたのか、わかった?私はおそらく意図的なものと思いますけどね。改ざんがなぜ行われたのか。その目的は何なのか、腹をくくって話してちょうだい。』
『まだ結論が出ておりません。いま暫くお時間をいただけませんか』
『時間稼ぎをするおつもり?下らないわね。だったら私が調べてあげます。再建案の資料を作成したのは誰?手を上げなさい。』

『私です。』と曾根崎はゆっくりと立ち上がった。

(次号につづく。)