『ロスジェネの逆襲』  池井戸潤

2012年6月28日 第1刷発行
発行所 ダイヤモンド社

著者 1963年岐阜県生まれ
 1998年「果つる底なき」で第44回江戸川乱歩賞を受賞。
 2010年「鉄の骨」で第31回吉川英治文学新人賞を受賞。
 2011年「下町ロケット」で第145回直木賞を受賞。

 本書は「週刊ダイヤモンド」2010年8月7日号から2011年10月1日号まで連載されたものに、加筆修正。
 「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」に次ぐ人気シリーズ第3弾。

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東京中央銀行から系列の東京セントラル証券に出向中のバブル世代の主人公の半沢。企業買収M&Aで東京中央銀行証券部と買収側と防衛側として対決することになる。
 
 ロストジェネレーション世代、バブル世代、団塊世代と世代間の思考という形をとりながら物語は進行し、最終的には半沢の真摯な生き方でハッピーエンドとなり、スカッとするビジネス物語である。これで最後の結末がダークに終わってしまってはと。思っていたところに逆転ホームランで終わらせるのが池井戸潤


 作品中著者がロスジェネ世代に送りたい言葉が『半沢』がはなしている。


『世の中を儚み、文句をいったり腐してみたりするーーー。でもそんなことは誰にだってできる。お前は知らないかもしれないが、いつの世にも、世の中に文句ばっかり言ってるやつは大勢いるんだ。だけど、果たしてそれに何の意味がある。たとえばお前たちが虐げられた世代なら、どうすればそういう世代が二度と出てこないようになるのか、その答えを探すべきなんじゃないか』

『あと十年もすれば、お前たちは社会の真の担い手になる。そのとき、世の中の在り方に疑問を抱いてきたお前たちだからこそ、できる改革があると思う。そのときこそ、お前たちロスジェネ世代が、社会や組織に自分たちの真の存在意義を認めさせるときだと思うね。オレたちバブル世代は既存の仕組みに乗っかる形で社会に出た。好景気だったが故に、世の中に対する疑問や不信感というものがまるでなっかった。つまり、上の世代が作り上げた仕組みに何の抵抗も感じず、素直に取り込まれたわけだ。だがそれは間違っていた。そして間違っていたと気付いた時には、もうどうすることもできない状況に置かれ、追い詰められていた』

『だが、お前たちは違う。お前たちには、社会に対する疑問や反感と言う、我々の世代にはないフィルターがあり根強い問題意識があるはずだ。世の中を変えていけるとすれば、お前たちの世代なんだよ。失われた十年に世の中に出た者だけが、あるいは、その下の世代が、これからの十年で世の中を変える資格が得られるのかも知れない。ロスジェネの逆襲がこれからはじまるとオレは期待している。だが、世の中に受けいられるためには批判だけじゃだめだ。だれでも納得する答えが要る』

 社会や組織に不満を持っていつも文句をいっているあなたに、ぜひこの本を読んでください。生き方が変わってくるかもしれません。

 残念なことに『ロスジェネ世代』は本を読まないのだね。