「ばくりや」 乾ルカ

2011年10月20日 第1刷発行
(株)文芸春秋
著者 乾ルカ 1970年北海道生まれ
7編の短編集



初出誌 オール讀物

逃げて逃げた先に(「ばくりや」を改題)      2009年9月号
雨が落ちてくる                  2010年2月号
みんな、あいのせい                2010年6月号
狙いどおりには                  書き下ろし
さよなら、ギューション              2010年9月号
ついてなくもない                 2010年12月号
きりの良いところで                2011年4月号


「ばくりや」 不要だと思っている、技能、経験、能力の交換を仲介をする。





「あなたの経験や技能などの「能力」を、あなたにはない誰かの「能力」と交換いたします。まずはご来店ください。」交換したいと思っている人たちにそんなチラシがタイミングよく入ってきた。
 それぞれ自分の「能力」に不満を持っていたので、誰かの「何かの」能力と交換を希望する。

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「逃げて逃げた先に」
 女に異常に好かれる能力を交換した男に代わりに与えられた能力は「包丁研ぎ」
研いだ包丁に未来が見えた。

「雨が落ちてくる」
 住まいから30km以上離れようとすると必ず気象が悪化して地域から離れなくなってしまう能力を交換した男が代わりに得た能力は、「底なしの食欲」
 男の能力は同僚の女性に与えられた。女性はそのとき機上の人であった。天候が急変し、連絡が突然に途絶えてしまった。

「みんな、あいのせい」
 就職すると、その会社は急に傾いて倒産してしまう。公務員は大丈夫だと思って入った自治体は、財政危機に陥って再建団体になってしまう。そんな運命をもった男が交換して手に入れた能力は、動物に好かれる能力。動物園を経営する自治体にうまく就職して、能力を発揮していたが・・・
 他の飼育員が休んだ時代理に世話したゴリラにも、異常に愛を示される。そしてゴリラに強く抱きしめられた男は、背骨を折られてしまうことに・・・

といったように7話とも自分の能力に不満を持ったものが、能力交換所「ばくりや」を訪れるストーリーです。