「私の男」 桜庭一樹 ③

第4章 200年1月 花と、あたらしいカメラ

腐野花16歳は養父淳悟と紋別に住んでいる。
淳悟は紋別海上保安部に勤めているので、オホーツク海を望む官舎に住んでいる。

同級生の暁の祖父大塩の爺さんは今は事業から引退し穏やかに隠居生活を送っている。
今は、昔趣味にしていた写真を再び撮っている。
花のなくなった両親を知っていて、花のことが気になっていた。

美しいオホーツクを撮りに花の家の近くに寄ったある朝大塩さんは
養父淳悟と花の秘められた情景を見てしまった。
大塩さんは心配し旭川の花の親戚に理由は隠し
花を高校卒業するまで引き取って欲しい。費用は負担するからということで内諾を
得てきた。

紋別の海岸に流氷が接岸しようとした日、花と大塩爺さんは遭った。
花に、一刻も早く淳悟から離れなさいとせまる。
花は「私の男」淳悟と決して離れたくなかった。
 
行方不明になった大塩爺さんは、淳悟の乗る巡視船に沖の海の流氷で冷たくなって発見された。
花は大塩さんが花に言ったこと、流氷で流されていったことを打ち明けた。


淳悟と花は紋別を離れ知人を頼って東京に行くことにした。