「アキラとあきら」 池井戸潤

2017年5月31日初版
発行所 徳間書店
著者  1963年岐阜県生まれ。



イメージ 1


この小説は、すでに10年前に書かれたものであるがドラマ化をきっかけに発行されたものである。しかもいきなりの文庫で。705ページにわたる超長編小説の大作である。

 零細企業の長男として生まれた山崎瑛と大手海運会社の長男として生まれた階堂彬は数奇な運命をたどる。二人は同じ東京大学で学び産業中央銀行に入行しバンカーとなる。二人のバンカーの共通な思いは金は人のために役立てたいという思いだ。やがて階堂彬は苦境に陥った家業の海運会社の立て直しに社長として戻ることになる。一方山崎瑛は海運会社のメインバンカー融資担当として方策を模索する。


 この作品は前述したとおり「鉄の骨」で吉川英治文学新人賞を10年に受賞するよりも、直木賞受賞作「下町ロケット」よりも前に書かれた作品である。また「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」がテレビドラマ「半沢直樹」によってベストセラーになる前の作品である、こんなに完成度が素晴らしい作品が「問題小説」に連載されたままで単行本化されなかったのか不思議である。私にとっては実に深みのある面白い最近一番の作品である。池井戸作品にはずれなない。