「ネメシスの使者」 中山七里

2017年7月20日 第1刷発行
発行所 文藝春秋
著者 1961年岐阜県生まれ。


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今日飛ぶ鳥を落とす勢いの当代一の人気ミステリー作家の社会派ミステリー小説。表題も少し前人気を博した作家がよく使ったギリシャ神話の女神を差し込んだ作品。メネシスとは「義憤の女神」。
 
 本来死刑判決相当と思われる殺人事件の被告が長期懲役刑に課せられた家族が「メネシス」というダイニングメッセージを残し殺害された。犯行は3件に及びいずれも「死刑廃止」を根底に持つ判事の判決により長期懲役刑に処せられている家族が被害者であった。3件目の犯行で捕らえられたのは検察事務官。そして殺人は刑務所内で4件目が行われた。被害者は検察事務官の恋人を殺害した懲役者。塀の中にかくまわれていた犯人に近づくために3件の犯行を実行していたのだった。死刑判決を避け長期懲役刑を言い渡した判事の心底は死刑で終わらせることよりも、もっと長期にわたって犯罪者を苦しめさたいという思いを語る。しかし殺されてしまった遺族は犯人が塀の中でぬくぬくと生きていると思うと、我慢できないという思いも持った者もいる。
 死刑廃止論問題をとらえたミステリー小説。