陸王（第18話）池井戸潤

「小説すばる」2015年1月号

　宮沢は坂本から突然会社を売りませんかという提案があった。会社（こはぜ屋）を買いたいという企業があるという。大企業の傘下に入れば資金問題は解決し、これからもシルクレイの生産継続もできるのではないかということからの提案だった。が、宮沢は乗り気ではなかった。買収したいというのは日本人が社長をしているアメリカ企業のアパレル企業「フェリックス」であった。坂本が売る売らないは別として一度社長に会ってみないか丁度日本に滞在中だからとの薦めで宮沢はフェリックス社長御園と会うことになった。

　　（つづく）