「フォルトゥナの瞳」 百田尚樹

2014年9月25日 発行
発行所 新潮社
著者 1956年大阪府生まれ。2013年「海賊とよばれた男」で第10回本屋大賞を受賞。
初出 「週刊新潮」2013年9月26日号から2014年7月3日号に連載された小説を加筆修正したもの。1600円


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 フォルトゥナの瞳とは人の死が分かる能力。死が近づくに従って人が透明度が増していく。人の体が透明になっていく、最初は指先から始まって、腕全体に、死の直前になると顔まで見えなくなってしまう。そんな能力を持ってしまった木山慎一郎は、死がまじかに迫った人たちの運命を変えて救おうとした。ある時同じ能力を持った医師に会い、眼前の人を救うことは、多くの人の運命を変えてしまう。それに、それをおこなうことによって自分の命を削っていくことにもなる。人の死が分かっても何もしてはいけないと忠告された。
 人が死ぬことが分かっていて、見過ごすことについて、死ぬ人はそれがさだめられた運命なのに変えてしまっていいのか。慎一郎は心の葛藤を繰り返す。携帯電話ショップの女性「葵」の死を救ったことで二人の間に恋が芽生える。葵もフォルトゥナの瞳を持った女性であった。
 電車事故で多数の人が亡くなることを知った慎一郎は自分の死と引き換えに多数の命を救いたいと決断した。