「それは秘密の」 乃南アサ

2014年8月30日 発行
発行所 新潮社

著者 のなみ あさ

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九編の短編集。




 帯から
恋すれば。恋なくば。恋ゆえに。
恋という厄介きわまる心情が綾なす男と女の<化学反応>を名手が描玻する!

 元妻に悩まされる夫たち
 いつまでも瑞々しい老婆
 フェチに目覚めた小学生
 同棲カップルの部屋に響く怪音
 闇の中でときめく政治家




 乃南アサさんの独特な感性はいつもワクワクして読んでしまいます。
最後に、収録された「それは秘密の」では政治家が台風の中友達を見舞って海岸沿いの道を運転中に道路の前後ががけ崩れによってトンネルの中に閉ざされてしまう。土砂に押しつぶされたバスから救い出した女性と灯りもないトンネルの中で一夜を過ごすことになる。異常な状況の中でふたりは互いにほのかな恋心を感じる。互いの名前も、顔も判らないのに、ただ握った手のぬくもりだけで・・・

 「僕が受験に成功したわけ」では小学生が思春期に大人の綺麗な女性を見る思いと、それを感じている大人の女性の気持ちを描いた作品は著者の巧妙な描写に感心する。

小学生がガールフレンドの家で勉強を教えている時、ガールフレンドお母さんの綺麗な脚に魅惑されてしまう。ガールフレンドのお母さんは脚をこれ見よがしに見せてきたりする。ある日小学生の口に脚をぶっつけてきた・・。しばらくたってガールフレンドの母娘はアメリカの父親の元に引っ越していった。成績も落ち気味だった小学生は、その後私立中学に見事入学できた。