連載小説 銀翼のイカロス(第44回)  池井戸潤

週刊ダイヤモンド 2014年3月29日号
第6章 イカロスの末裔

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(前号)
 検査部の富岡と半沢は、民政党の箕田との間にあった過去の不正取引の証拠を発見した。そして、タスクフォースの記者会見当日、半沢は帝国航空の山久の元を訪れた。山久は中野渡頭取が記者会見で債権放棄を表明すると聞いていると打ち明けた。


(今週号)
 タスクフォースの記者会見の前、乃村から中野渡頭取が「公にするつもりはない。」と紀田に言ったということを聞いた箕田と白井は上機嫌である。会見は始まった。
 会見には頭取ではなく、半沢が現れた。そして半沢は再検討を依頼された債権放棄は断るとはっきり言った。自主再建が可能な企業に対して債権放棄なんてできないと。

「そんなこと言っていいのか、東京中央銀行の悪行の数々をぶちまけてもいいのだな」と乃村は脅迫してきたのだが、半沢は意にもかいさない。乃村の切り札は諸刃の剣だ、返す刀で箕田を傷つける。すなわちそれは自らの地位を危うくすることを意味しているからだ。乃村は言えないだろうと確信している。

 そのとき、半沢の口から、事の次第を記者の前で説明しだした。箕田の顔は青ざめる。

(次号に続く。次週号は最終回になります。)