「その手をにぎりたい」 柚木麻子

2014年1月29日初版第1刷発行
発行所 株式会社小学館
著者 1981年東京都生まれ

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 本木青子は栃木のかんぴょう農家に生まれた。地元の大学を出て東京で家具屋に3年勤めた。会社を退職して栃木に戻るつもりでいたが、勤めていた家具屋の社長に送別会と称して連れて行ってもらった銀座の高級鮨店で、すし職人の握る鮨とその手に感動する。青子は座るだけで3万円もするというこの店でこれからも鮨を食べたいと思い、不動産会社に勤める。ちょうど時代はバブル絶頂期で仕事も順調で、青子は高級のこの店で常連となる。職人の握るその手が忘れられず、その手、職人に恋する青子。
 10年経ちバブルのはじけるとともに、高級鮨店も店じまいすることに、青子の会社も倒産、青子も病気となり、栃木に帰ることなる。栃木に帰る前に鮨店により、初めて青子と、職人は互いに思いのたけを打ち明けた。