連載小説「銀翼のイカロス(第28回)」 池井戸潤
(前号までのあらすじ)
帝国航空の前担当者だった曾根崎の嘘を証明した半沢だったが、金融庁は東京中央銀行に業務改善命令を下した。一方、タスクフォースの債権放棄を一向に認めない東京中央銀行に対し国交大臣の白井は苛立ちを見せた。
帝国航空の前担当者だった曾根崎の嘘を証明した半沢だったが、金融庁は東京中央銀行に業務改善命令を下した。一方、タスクフォースの債権放棄を一向に認めない東京中央銀行に対し国交大臣の白井は苛立ちを見せた。
タスクフォースの成否は白井にとって政治家としての評価に直結するため必至である。紀田にとっても旧東京第一銀行(旧T)と旧産業中央銀行(旧S)の戦いであり、負けるわけにいかない。負ければ紀田ら旧東京第一銀行出身行員は冷や飯を食わされることになり、そんな状況にさせるわけにはいかないと思っている。
翌日、半沢たちはタスクフォースから呼び出された。またもや債権放棄を迫るものであった。激しくやり合って、半沢は一歩も引かずタスクフォースを辞去した。
(次号につづく)