連載小説「銀翼のイカロス(第24回)」  池井戸潤

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週刊ダイヤモンド11月2日号掲載


 金融庁の聞き取りが終わって、半沢、渡真利それに2年前心の病に倒れ今は広報部次長の近藤の三人は久しぶりに銀座裏通りのバーで会っていた。話題は曾根崎の言い逃れ発言について、そして紀田常務の最近の行動。紀田常務は曾根崎の発言を機に帝国航空の対応を審査部に戻そうと画策しているという・・・

 一方紀田常務と曾根崎たちも銀座の薬膳中華の店で密会をしていた。先日の金融庁の曾根崎の対応ににんまりと乾杯をしていた。曾根崎は帝国航空再建案の数字違いをどう言い逃れするか発案した紀田を褒めたたえ感謝した。

 後日、曾根崎は帝国航空の山久に会いに行った。金融庁から提出を要求されている『帝国航空が誤って東京中央銀行に渡してしまった資料がなぜ、そうなったかを説明する状況説明書」を作成して欲しいという依頼をするためだ。
 当然、山久は嫌悪感をあらわにした。

(次回につづく)