連載小説「銀翼のイカロス(第23回)」  池井戸潤

週刊 ダイヤモンド 2013年10月26日号 
第4章 荒ぶる男たち



著者  岐阜県八百津町生まれ。
下町ロケット」で直木賞受賞。


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 帝国航空再建案の中身が違っていた。そのことについて黒崎検査官は問いただしてきた。すると曾根崎は半沢たちを尻目に『私です』と立ち上がった。そして、帝国航空がミスをして東京中央銀行に検討中の資料を渡してきたと、原因は帝国航空にあると、責任の所在を帝国航空だと発言した。
この説明で、黒崎検査官も納得し、この窮地を脱することができたが、半沢としてはふに落ちない。

 黒崎検査官の次の質問は、帝国航空の関連会社に対する与信引き当て状況に移った。そして、黒崎検査官は東京中央銀行の与信の裏付けに対する甘さを指摘することで、半沢に謝罪を求めてきた。半沢は仕方がなく謝罪をすることで2日目の検討会も終了することになった。


 
 半沢は曾根崎が帝国航空に責任転嫁した内容(本当にミスして資料を渡してきた)について、帝国航空の山久部長に問い合わせる。山久部長はそんなことはしていないと全面否定した。

 (次号につづく)