「噂の女」 奥田英朗

2012年11月30日発行
新潮社

著者 1959年岐阜県生まれ
 2002年「邪魔」で大藪春彦賞、04年「空中ブランコ」で直木賞、07年「家日和」で柴田錬三郎賞、09年「オリンピックの身代金」で吉川英治文学賞を受賞。

初出
 「yom yom』13・16・18~23号、「小説新潮」2012年5月号・7月号


イメージ 1



街で評判の男好きのするいい女。彼女に関わる男が3人突然死を遂げた、女にはいろんな噂が絶えないが・・・
 舞台は地方都市となっているが登場する地名や言葉から奥田の出身地岐阜市を舞台に描いている。
 言葉は岐阜弁(岐阜市近郊)で名古屋弁とも違う、岐阜県は広いので飛騨や東濃、西濃とも違う。飛騨は明治初期筑摩県であったことも含め岐阜県南部の美濃とは全く違う。
 美濃も木曽三川木曽川長良川揖斐川)の大河で土地が分断され川を挟めば言葉も違ってくる。現在は多くの橋でつながり、テレビをはじめとする情報の発達で言葉も混在化してきてはいるが・・
 特に揖斐川を西に渡ると言葉が違ってくる。今でも顕著なのが下流三重県桑名市
尾張弁から関西弁イントネーションに変化する。岐阜県はそこまで顕著ではないが多少の変化がある。
 NHKの日曜連続劇、松平容保は桑名に隣接する高須藩の七男、桑名藩からも会津に行ったものも多い。
前回の劇では時代考査をして当時の空気は砂埃が多いのであんな画面にしたということであるが、時代考査を重要視するなら容保を含め桑名藩高須藩出身の侍言葉は十分に考査されているのかはなはだ疑問である。