「解」 堂場瞬一

2012年8月30日 第1刷発行
(株)集英社

著者 1963年茨城県出身
 新聞社勤務の傍ら小説を執筆し200年「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞。


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平成元年大学の同級生(鷹西 仁 たかにし じん・大江 波留 おおえ はる)の二人は俺達が日本を変えていくと夢を誓った。大江の夢は政治家。大蔵官僚、IT会社社長を経て政治家に転身した。鷹西の夢は小説家。その夢のためにファーストステップとして新聞記者になった。新聞社勤務中に文学新人賞をとり、人気作家の地位を築く。(著者の経歴見たい)
 だが、二人の間には、ある忌まわしい殺人事件が横たわっていた。

 鷹西は新聞記者新人時代に静岡支社に勤務していた。その時伊豆の別荘地帯で政界を引退した元大物政治家が何者かに殺害された。犯人は見つからず迷宮入りそして15年経ち事項が過ぎたのだ。人気作家になった鷹西だが記者時代のこの未解決事件は今でも心の奥にひかかっているのだ。

 大江の父は政治家であり、亡くなった時周りに「弔い合戦」として選挙に出るように勧められたが大江は断った。大江の父は昔気質の政治家であり、いわゆる板塀しか残らないと揶揄される政治家であり、大江の家は借金まみれであった。大江は政治家を目指すのだがまずは金うを作ってから選挙に出たいという目標を持った。
 アメリカ留学時代にヒントを得、いずれはIT社会の到来を数年先は来ると、IT会社を設立し、それが大当たりした。大江は念願の政界に進出し、政党幹事長の重要ポストにも就いた。

 鷹西は借金まみれの大江が会社設立の出資金に疑問を持ち殺人犯は大江ではないかと確信をもった。鷹西と大江は真実を話そうとしていたその時、3月11日大震災が襲った。大江は日本のためにすぐに官邸に戻った。鷹西は個人の命、日本国民多数の命の狭間で真実の追求をしないことにした。