「東京ロンダリング」 原田ひ香

2011年7月30日 再1刷発行
集英社発行
著者 原田ひ香 1970年神奈川県生まれ
 初出 「すばる」2010年2月号

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 内田りさ子32歳は離婚し住む家もなし、そこで生きるために選んだ仕事がマンション、アパートなどの賃貸住宅の「ロンダリング」。
賃貸住宅の「ロンダリング」(浄化)とは・・・
 
賃貸住宅に特別の事情がある場合(事故物件)、入居しようとする者に対し事情を告知しなければならない。
 自殺者が出たり、突然死であったり事件が発生したりした場合がそれに該当する。ただしその告知はそのような特別な事情の直後に入居するものだけでよく、それ以降の入居者には告知する必要がない。
 
 事件のあと特に時差ちがあったり、殺人があったり、孤独死があったりした場合には入居者を確保することが難しい。仮にあっても大幅な家賃のダウンは免れない。
そのためには事件のあった部屋に短期間入居してもらって、事件の形跡を消す、この役割を担うのが「ロンダリング」。

 内田りさ子は、移り住むさきざきで人と出会い、自分を取り戻していく。



ロンダリング」という仕事はいわゆる裏の仕事であるがきっと存在するであろう。
不動産業界にとってはきっと、事故物件の告知をせずに家賃を維持するためにも必要とされるのであろう。