「マスカレード・ホテル」東野圭吾

2011年9月10日第1刷発行 集英社
初出 「小説すばる」2008年12月号から2010年9月号

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小説すばる」2011年10月号
東野圭吾「マスカレード・ホテル」刊行記念エッセイから

「大人の空間」として以前からの思いから、いつかホテルを舞台にした小説を書いてみたいと考えていた。単に舞台に使うのではなく、ホテルそのものが主役となる小説です。今回小説を書くにあたり、グランドホテル形式(群像劇)の手法は取らずにシリーズにしようと考えました。そこで視点を二人の人物に絞りました。刑事とホテルマンです。彼等の目を通して、次つぎに訪れる客たちを描くことで、ホテルという世界を伝えようと考えたわけです。当然、彼等はお互いのことを観察することになります。
 刑事から見たホテルマンはどうか。ホテルマンには刑事がどのような人間に映るか。ごく自然に物語のテーマは「プロフェッショナリズムとは何か」というものになっていきました。
あとはストーリーです。最初からアイデアがありました。
あるホテルで、誰かが誰かをころそうとしている、です。
犯人はもちろんのこと、狙われている人間が誰なのかもわからない。しかし殺人が起きようとしていることだけは確か

そんな状況になった時、刑事はどうすればいいのか。そしてホテルマンはどう対応するのか。
非常に難しいシュミレーションでした。想像力の限りを尽くしたという実感があります。手ごたえも十分です。今後これ以上にうまくやれる自信はありません。読者の皆様には、素敵なホテルの世界を楽しんでいただけたらと願います。

上記のとおり著者がエッセイで発表しているとおり、素晴らしい作品でした。最後まで結末が見えてこない読者にとって結末が想像の範囲を超えてしまっています。

東京で三件の連続殺人事件が発生している。それぞれの事件現場には犯人からと思われるメッセージが残されており、第4の殺人事件がコルテシア東京という一流ホテルで起こそうとしていることを示していた。一流ホテルのホテルマンと刑事、それぞれのプロの仕事が事件の解決につながっていく。