魔王 伊坂幸太郎

「魔王」
著者 伊坂幸太郎
第1刷発行 2005年10月20日
発行所 (株)講談社


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超能力者VSファシズム政治の対決

第1話 魔王
 主人公安藤は最近人気が出てきた野党の党首「犬養」が、ムッソリーニに似ていると感じている。
 そんな犬養に大衆は踊らされているのではないかと危機感を感じており、何とかしなければと思っていた。
 安藤は自分が思ったことを他人に言わせる「腹話術」の超能力(と、いっても30m以内の者にしか使えない。というショボさだが)があることに気が付きこの超能力で犬養に立ち向かおうとする。が安藤は犬養の前で倒れてしまう。

第2話 呼吸
 安藤が亡くなってから5年後、弟潤也に今度は超能力(10分の1以下の確率であれば賭けごとにに勝てる)が現れる。このときは犬養は首相になっていた。
 その能力で何とかしようとする。
  
 





潤也
「俺が思うのは、犬養みたいな天才の政治家よりも、もっと厄介なのはさ」
「大衆だよ。しかも、大衆の役割を忘れた大衆で、言っちゃえば、大衆の才能のない大衆だよ。頭がよくて、偉そうで、そういう人たちが、一番厄介だ。」

「兄貴は負けなかった。逃げなかった。だから、俺も負けたくない。」
「ばかでかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、水に流されないで、立ち尽くす1本の木になりたいんだよ。」



伊坂幸太郎は「恰好悪いけど格好いいのが好き」といっている。自分を信じて行動する
「犬養」「安藤兄弟」の生き方が描きたかったのだと思う。