「ファミリーポートレイト」桜庭一樹

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発行 講談社


私は日本の小説よりも外国文学を好んで読む。
小説家になるにあたって多大な影響を受けた。欧米の小説や映画を大量摂取するたびに
いいなと思うのが宗教観とそれによる罪の意識があるからだ。
神様のいる国の物語は重たくて大きい。普遍的なパワーを持つ。
そういう大きな普遍的な現代的でもある物語を自分も書きたい。
父と娘の近親相姦を描いた「私の男」、その前の製鉄一族の女3代記「赤朽葉家の伝説」の
ときも課題としたことのひとつはそれだった。

私は小説家として、日本の風土で、昔から現代まで通用する「神様」に代わるものは何かと考え続けていた。
家族だ。

家族の写真「ファミリーポートレイト」に誓わせれば、神と同じか限りなくそれに近い効力を発揮するかもしれない。「罪」という底なし沼に主人公を突き落とす為には、神様の位置に、血の繋がりそのものを持ってくればよい。
これを信念に書いたのが「赤朽葉家の伝説」であり、「私の男」であり「ファミリーポートレイト」だ。

家族の話はこれで集大成になったから次のテーマを探す旅に出ようかなぁ、と今思っている。

「本」12月号より

「狂気と書いて愛」が疾走する家族小説です。「赤朽葉家の伝説」「私の男」に繋がる物語として、また新たな代表作として読んでいただければうれしいです。

講談社BOOK倶楽部から

主人公は本が好きで沢山読むし、小説家になり賞を取るところなどは
桜庭一樹」氏自身を髣髴させるが・・・