ガイシの女 汐見薫

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ガイシの女 汐見 薫
発行所 講談社
第1刷発行 2007年11月27日

主人公の岩本杏子は外資系企業で働く既婚のキャリアウーマン。
容姿端麗な上に性格はさわやかでやや気が強い。
やりがいのある仕事と幸福な結婚生活、二つのものを手に入れて、順風漫歩な人生を歩んでいる。
しかし早見えるのは表向きだけのこと。
実のところ、杏子は職場で大した仕事を与えられているわけではない。
意地悪な外国人上司との人間関係に神経をすり減らす日々を送っている。
家庭においては夫婦生活はすっかり破綻し、夫とは別居している。

杏子の心の支えであった兄が突然自殺をする。
納得できない杏子は真相解明に乗り出す。

杏子には次の試練が著者(あとがき)から課せられている。
日本の金融界の後進性、部下に責任転嫁する会社役員へのリベンジ、新しい鯉を手に入れる。

主人公の杏子以外にも何人かの女性の生き方を書いている。
 嫉妬や仲違い、裏切り、虚栄など人間関係を滞らせる沢山の要素。
人間の深層心理の闇。しかしそれらは全て、何らかの形で人生の糧となる。
著者はこの部分を書いているときが一番楽しかったと述べている。