「へび女房」 蜂谷 涼

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「ヘビ女房」蜂谷 涼氏の新刊である。
初版発行が2007.10.25日であるからまだつい最近である。
先日、ある町の図書館に行った折
新刊コーナーに置いてあったのです。
本のタイトルと時代小説ということで早速借りてきました。

明治維新は激動の時代でした、そんな時代背景の中で
必死に生きる女性を描いた中短編小説です。

タイトルにもなっている「へび女房」「きしりかなしき」「雷獣」「うらみ葛の葉」
の4篇が集録されています。

「へび女房」は
商家から旗本の家に嫁いだ「きち」は食べるために
的屋になった。
娘が転んで頭を怪我しても医者に見せる金子もない。
ヘビの皮、いわゆる反皮を貼ると思いがけず完治した。
夫はあてにできない。
仕入れも商売も自分でした。商売は面白いように繁盛した。

20年の歳月が経ち息子が嫁にしたい女子がおりますと
連れてきたのが、吉原の遊女だった。
きちは大反対だったが、遊女と会ってきちは
遊女にほれ込み息子の嫁にする。

「きしりかなしき」は
置屋に「糸子」と「たま」という良く似た2人がいた。

外務省軍事顧問として雇われたフランス系アメリカ人
ル・ジャンドルが日本の女性を妻にしたいというので
大熊重信が大名家出身の子女で適当な相手を探したが
「らしゃめん」はごめんだと断られてしまった。
そこで大熊が目をつけたのが
松平春嶽候の落とし胤のお姫様「糸子」であった。

「たま」は「糸子」の身代わりになって輿入れをした。

「おなごになど、生まれとうなかった」

「雷獣」は
北海道開拓長官 黒田清隆は酒癖が悪いので有名だった。
酒乱の黒田は「黒虎の大臣」と呼ばれていた。
黒田がある夜悪酔いしたとき、啖呵を切って帰らせたのは
芸者の小せんであった。

その小せんを黒田が、嫁にしたいといってきた。
小せんは「一里塚の殿」と言われている
海軍卿榎本武揚に心がひかれていた。