「ノースライト」横山秀夫
2019年2月28日発行
発行所 新潮社
著者 1957年東京都生まれ。
一級建築士の青瀬には夢があった。北から入るやさしい光を部屋中に取り込める家を創ること。ある日建築雑誌に掲載された青瀬の作品の住宅が魅惑的であるので青瀬自身がすみたい家を建築してほしいとの依頼であった。竣工後青瀬は施工主に引き渡した住宅を半年後気になって訪ねてみたら家にはだれも住んでいる気配がなかった。青瀬は施工主探しに奔走する。
誰もがわかっている事実、本当の世界一
世界一を決める大会。この大会の名称にほとんどの人は疑問を持っているはず。
世界一を決めるWCにはそれにふさわしい選手が参加することが当たり前であるがこの大会にはそれにふさわしいその国のトップ選手が参加していない。そんな大会でオリンピック参加国がきまることはオリンピックの価値を下げる。かの競技ではその年代のトップ選手ということでU22という枠組みで価値を保っている。
この大会でもトップ選手の参加が望めない段階で、そういう枠組みを設けた大会であればその年代ではあるがという前提が付くが世界一という称号が輝くもの。
だからかもしれないがいつまでたってもオリンピックの競技として世界がなかなか認めてくれないのかも。この大会を世界の人がどれだけ注目してテレビ観戦したのであろう。そもそもテレビ放映権が世界に及ぼす影響力のあるかの国では放送がなされたのであろうかはなはだ疑問であるし、されたとしてもどれだけ視聴したのであろうか。かの国のリーグに所属している選手が参加できるようにしてからこういう大会は実施されればもっと多くの人が興味をもって見ることになるのであろう。
「生命式」村田沙耶香
2019年10月20日初版印刷
2019年10月30日初版発行
発行所 河出書房新社
著者 1979年千葉県生まれ。2016年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。
12編の短編集。
「生命式」時代は進んで人口が減少化する、葬式は生命式と名を変え亡くなった人を弔うために縁ある人は集い亡くなった人を食する、そのあと集った者で「受精」という妊娠を目的とする交尾を行う習慣化する。コンドームを使った交尾は快楽を求めるだけのもので人口増にはつながらないとして軽蔑されている。交尾で生まれた子は「子供収容センター」で人類共有の宝として育てられる。
「素敵な素材」人間の体は素材として活用される時代。人毛で作ったカーディガンはカシミアよりも高級なものとして喜ばれ、爪で装飾したランプシェード、歯でイヤリング、大腿骨で家具の脚にしたりと人間と体を素材としたものが好まれる時代。
村田沙耶香らしいと言えば?まあちょっと気持ち悪い短編が冒頭2題から綴
られている。