「ノースライト」横山秀夫

2019年2月28日発行

発行所 新潮社

著者  1957年東京都生まれ。

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一級建築士の青瀬には夢があった。北から入るやさしい光を部屋中に取り込める家を創ること。ある日建築雑誌に掲載された青瀬の作品の住宅が魅惑的であるので青瀬自身がすみたい家を建築してほしいとの依頼であった。竣工後青瀬は施工主に引き渡した住宅を半年後気になって訪ねてみたら家にはだれも住んでいる気配がなかった。青瀬は施工主探しに奔走する。

首都直下地震・パラレル東京と首都機能移転

 今週NHKの特別番組「首都直下地震・パラレル東京」を見ていてあらためて感じることは東京に一極集中し過ぎということが問題解決を困難にしていることである。

 やはり過去に国会でも討議されうやむやになってしまった首都機能移転を推進すべきと感じた。せめて政治機能が東京以外の地にあってこそ災害復興の政治的空白を防ぐことができると思う。経済も政治もいっぺんに崩壊しては復興を阻むばかりか日本全体の社会崩壊につながる。今一度首都機能移転を真剣に検討すべきである。

 

「カエルの小指」 道尾秀介

2019年10月23日第1刷発行

発行所   講談社

著者  1975年生まれ。

 

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詐欺師から足を洗って、実演販売士をしている竹沢武夫のところに転がり込んできた中学生キヨウ。男だと思っていたら女。昔竹沢が命を助けた女の娘だった。母親の仇を取るための資金としてTVに出るため実演士を習いたいと転がり込んできたのだが・・・

 みんなが騙され騙しあう何が何だか分からなくなってしまう奇想天外の物語。

「落日」 湊かなえ

2019年9月2日第1刷発行

発行所 角川春樹事務所

著者  1973年広島県生まれ。

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 映画監督と新人脚本家の故郷は海に落ちる夕日のきれいなところ。そんな二人の地元で起きた殺人事件を映画化しようと事件を検証しようとする。どうしても監督には事件に、それも犯人として逮捕されている青年の行動に疑問を抱いていた。新人脚本家も自分の父の自殺、姉の交通事故にも疑問を抱いていた。

「背中の蜘蛛」誉田哲也

2019年10月20日 第1刷発行

発行所  双葉社

著者  1969年東京都生まれ

 

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犯罪捜査に今や防犯カメラは当たり前に利用されている。日常的に犯罪捜査に今やだれも抵抗がない、たとえプライバシーが侵されようと、それよりも犯罪抑止へのメリットが多少のプライバシーのデメリットよりも我々はそちらの方を選んでいる。

 より犯罪の事前防止をしようと警視庁では事務分掌、組織図にも書かれていない部署が存在する。その部署は常にネットワークの中で犯罪につながるような事象を見逃さない様にしている。

 そこに関わる警察官の葛藤が事件を犯すというこれからの国民のプライバシーとどう向き合うべきか問題提起した作品である。

誰もがわかっている事実、本当の世界一

世界一を決める大会。この大会の名称にほとんどの人は疑問を持っているはず。

世界一を決めるWCにはそれにふさわしい選手が参加することが当たり前であるがこの大会にはそれにふさわしいその国のトップ選手が参加していない。そんな大会でオリンピック参加国がきまることはオリンピックの価値を下げる。かの競技ではその年代のトップ選手ということでU22という枠組みで価値を保っている。

 この大会でもトップ選手の参加が望めない段階で、そういう枠組みを設けた大会であればその年代ではあるがという前提が付くが世界一という称号が輝くもの。

だからかもしれないがいつまでたってもオリンピックの競技として世界がなかなか認めてくれないのかも。この大会を世界の人がどれだけ注目してテレビ観戦したのであろう。そもそもテレビ放映権が世界に及ぼす影響力のあるかの国では放送がなされたのであろうかはなはだ疑問であるし、されたとしてもどれだけ視聴したのであろうか。かの国のリーグに所属している選手が参加できるようにしてからこういう大会は実施されればもっと多くの人が興味をもって見ることになるのであろう。

「生命式」村田沙耶香

2019年10月20日初版印刷

2019年10月30日初版発行

発行所  河出書房新社

著者   1979年千葉県生まれ。2016年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。

 

12編の短編集。

「生命式」時代は進んで人口が減少化する、葬式は生命式と名を変え亡くなった人を弔うために縁ある人は集い亡くなった人を食する、そのあと集った者で「受精」という妊娠を目的とする交尾を行う習慣化する。コンドームを使った交尾は快楽を求めるだけのもので人口増にはつながらないとして軽蔑されている。交尾で生まれた子は「子供収容センター」で人類共有の宝として育てられる。

 

「素敵な素材」人間の体は素材として活用される時代。人毛で作ったカーディガンはカシミアよりも高級なものとして喜ばれ、爪で装飾したランプシェード、歯でイヤリング、大腿骨で家具の脚にしたりと人間と体を素材としたものが好まれる時代。

村田沙耶香らしいと言えば?まあちょっと気持ち悪い短編が冒頭2題から綴

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られている。