「傲慢と善良」 辻村深月

2019年3月30日第1刷発行
発行所 朝日新聞出版
著者 1980年2月29日生まれ12年「鍵のない夢を見る」で第147回直木賞を受賞。


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 女流人気作家が描いたミステリー恋愛小説。
 現代の結婚へとうまく進まない理由が「高慢さと善良さ」にあるような気がするということから著者はこのテーマで本作の著作に取り掛かった。
 「現在一人ひとりが自分の価値観に重きを置きすぎて皆さん高慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り誰かに決めつけてもらうことが多すぎて自分がないことになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう、不思議な時代なのです。」作品の中で見合い斡旋おばさんにこう語らせている。

 物語の中心になるのは40代になったばかりの架(かける)と30代半ばの真美。架は一流大学卒業後親の急逝で家業のワイン輸入業を継いだ。架には男女の友達が多くルックスも良いので恋人には不自由しない生活を送ってきた。持てる男性のお決まりで、なかなか結婚に踏み切れないまま40代になってしまった。とても気に入った情勢からのアプローチもあったが架はそのまま結婚にならず、40代になり結婚願望が強くなり結婚紹介に入会し会ったのが真美。

 一方真美は群馬のお嬢さん学校を卒業し、就職も親の指図のところ、見合いも親の勧めるところと全く親離れのしない女性だったが、そんな自分を変えたくて一人生活をしようと上京した。そして結婚紹介所を通じて会ったのが架だった。

 二人は順調に結婚に向かい式場も予約、真美は勤めていた会社を辞め送別会があった翌日失踪してしまう
 真美に何があったのか真美が以前に訴えていたスト-カーに連れ去られてしまったのか、架の真美探しが始まる。二人の真実の愛探の行方は・・・・


 辻村深月さんの小説は何冊か読んだがこの小説は417頁にも及ぶ大作にもかかわらず物語の進展に思わず夢中になってしまった。