「ナオミとカナコ」 奥田英朗

2014年11月10日 第1刷発行
発行所 幻冬舎

著者 岐阜県生まれ。
 04年「空中ブランコ」で第131回直木賞受賞。02年「邪魔」で第4回大藪春彦賞受賞。
 07年「家日和」で第20回柴田錬三郎賞を受賞。09年「オリンピックの身代金」で第43回 吉川英治文学賞を受賞。

 1700円

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 ナオミとカナコは地方出身の大学の同窓。ナオミは美術大学を卒業後、百貨店の美術部で働きたいと入社したが、配属されて勤務しているのが外商部。
 カナコは専業主婦、夫は銀行員。ナオミとカナコは不定期に会っている。ある時ナオミはカナコを訪ねた時カナコの異変にきずいた。カナコの体中に痣があることで夫にDVされていることを知る。
 ナオミはカナコを救おうとカナコの夫の排除(殺人)計画を二人で立てる。ナオミは華僑を対象にしたホテルでの外商会で中国人女性経営者と知り合う。直美が女子経営者を訪ねた時、加奈子の夫と瓜二つの密航中国人を発見する。

 二人のDV夫排除計画は、夫が顧客の預金を不正に隠匿して国外に逃亡したと見せかける。夫は二人が抹殺し富士山の見える三国峠近くに埋め、一方、夫と見せかけた中国人を夫のパスポートで上海に出国させること。

 完全犯罪と当初は思ったのだが、夫の妹が、執拗に真実に迫ってくる。ハラハラドキドキである。読者の気持ちはナオミとカナコの計画どおり進むように感情移入し妹が疎ましくなってしまうところで奥田ワールドに引き込まれてしまう。440ページにも及ぶ長編小説ですが一気に時間を忘れさせてくれた一冊です。