「闇に香る嘘」 下村敦史

2014年8月5日 第1刷発行
発行所 講談社

著者 1981年京都府生まれ
2014年第60回江戸川乱歩賞を本作で受賞。受賞作名「無縁の常闇に嘘は香る」

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 満州開拓団として渡った家族が帰国。帰国途中離ればなれになって兄は中国残留孤児帰国事業で帰ってきた。弟は孫が重い腎臓病の為、兄に腎臓の提供と検査を依頼するも兄は拒否をする。このことがきっかけに27年間信じていた兄は偽物ではないかと疑い始めた。そんな時中国名を名乗る男から、オレが本物の兄だと電話がかかってきた。兄が看護していた母は心臓発作で突然亡くなってしまう。兄のことを疑っていた弟に亡くなった母は生前、真実を追求することに難色を示していた。
 本当の兄は誰なのか、最後に思いもよらぬ真実が明らかにされる。さすが本年度受賞作、最後まで読者をいい意味で想像を裏切ってくれる作品である。