連載小説 銀翼のイカロス(第39回) 池井戸潤

2014年2月22日発行
週刊ダイヤモンド

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第6章 イカロスの末裔

(前号)
 タスクフォースの乃村は過去の不正融資の事実を中野渡頭取に突きつけ、再度債権放棄を迫った。一方、旧T出身の山本は不正融資の証拠である書類が合同倉庫からなくなっていることを紀田常務に報告、紀田は必ず書類を見つけ出すよう指示した。


(今号)
 紀田の指示を受けた山本は動き出した。旧T時代の同期で人事部の木原と会い、富岡のことを聞いた。富岡には奇妙な人事履歴があることを知った山本は、富岡を脅して資料を取り戻そうと策略を始めた。

 一方半沢は富岡から手に入れた資料を調べて、しっかりとした証拠で不正融資を暴くことで、帝国航空の再建に結びつけるロジックを探している。その重要な鍵を富岡が握っていると感じている。

 帝国航空の山久から半沢に、週末の金曜日、タスクフォースが記者たちを集めているがその理由を知っているかと尋ねてきた。半沢は営業第二部長の内藤の部屋を訪れた。そして半沢は不穏な動きがあることを感じ取った。


(次号に続く)