初出
日本経済新聞電子版
2011年6月2日~2012年5月21日
単行本化にあたり大幅に加筆修正された。
東京建電で
トップセールスであったエリート営業課長坂戸が
パワハラで人事部付に異動になった。内実は坂戸がセールスした「ねじ」の納入に不正が発覚したからである。
航空機や
高速鉄道に使用されるねじは人命の安全にもかかわり想像される影響は多大に及ぶと推測されリコールした場合は企業存続さえ危ぶまれる重大なものであった。
東京建電は幹部の決断で、企業存続のため
隠蔽工作をおこなっていた。そういった企業体質を変えたいと考えていた万年営業係長の
八角は告発に踏み切った。不正はマスコミの感知することとなり、不正の真実が公に知らしめることとなった。
虚飾の繁栄か真実の清貧か
八角が選んだのは後者であった。
この企
業物語はどの会社にも住みついている問題であり、実は前者を選択するケースが多いのではないか。判らなければいい、何とか逃れようという企業体質。
池井戸潤は企業のモラルを今回この小説を通して私たちに訴えかけている。