「ウツボカズラの夢」 乃南アサ

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ウツボカズラの夢 乃南アサ
2008年3月25日 第1刷発行
発行所 双葉社
この本は双葉社創立60周年記念刊行作品


平凡な日常ほど悪意に満ちたものはない
わたしの願はただひとつ幸せになること
エンターテインメントの域を越えた傑作



主人公は18歳になったばかりの斎藤未芙由。
2ヶ月前に母が病死し、愛人とすぐに再婚したいと言い出した父に反発した
斎藤未芙由が東京にいる母のいとこ「尚子おばさん」の家に身を寄せ、一見非の打ち所が
ないように見える鹿島田家の内実に触れ、彼女自身も変化していく物語。

鹿島田家は、東京渋谷に近い静かな住宅街に建つ2世帯住宅で2階には四十代の鹿島田雄太郎・尚子夫婦、大学生の隆平、高校1年の美緒の4人家族が、1階には雄太郎の両親の老夫婦が住んでいる。
未芙由は住み込み家政婦同然に家事を引き受け、アルバイトをしながら将来の夢を手探りしていく。

未芙由、覚えておいて損はないから、あんたに言っておくからね。どんなにひどいことをする、最低の人間だと思っても、その人の子供に向かって、その人の悪口を言っちゃだめなの。本当の親子で、子どもが親の悪口を言うのは構わないんだけれど、たとえ同じことでも、それを他人に言われると、人は絶対に許さないもんだよ。