「禁断のパンダ」 拓未 司

禁断のパンダ
拓未 司 たくみ つかさ(拓未 紀司 たくみ のりつか) 
2008年1月28日 第1刷発行
発行所 宝島社
1973年岐阜県生まれ
大阪あべの辻調理師専門学校を卒業後神戸市のフランス料理店に就職。その後様々な飲食業に従事。
現在はアルバイト。というユニークな経歴。

第6回ののミステリーがすごい大賞
この賞は「チームバチスタの栄光」海道 尊も受賞



フレンチレストラン キュイジーヌ・ド・ドュウを借り切った結婚披露宴の食事シーンから唾が湧くほどリァルでイメージ喚起力豊かな描写が読者を鷲づかみする。
料理を提供する側から描く「ビストロ・コウタ」の場面もすばらしい。それにひきかえ警察側の描写は
通り一遍等のルーティンワーク。刑事コンビも類型的でキャラが立っているとはいいがたい。みえみえも
落ちも含めてミステリーとしては構成に難がある。しかし、グルメ小説的な魅力は、ミステリー部分の欠点を補って余りあるし、どこが悪いかははっきりしているので修正しやすい。フレンチの天才シェフが
活躍する神戸グルメミステリーというだけでも売りは協力。ぜひシリーズ化して欲しい。
読んでいると、値段とカロリーの高い料理が食べたくなるのが最大の欠点です。

大賞選評者の大森望氏の評です。

他にコラムニストの香山二三朗氏は
「料理小説のジャンルに新風を巻き起こせる新人」
書評家の茶木則雄氏は
「味覚そのものをここまで的確かつ典雅に描く筆致は只事ではない」
同じく吉野仁氏は
「グルメの部分や登場人物たちのやり取りは最高に面白い」と
評しています。

最高のグルメリストや料理人は極めてくると
こんなもんに手を出すのかと言うのが
この小説の顛末となっている。

たいへん面白いグルメミステリー小説であった。